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 福岡県大牟田市の甘木山公園にある「徴用犠牲者慰霊碑」の二つの碑に、黒い塗料が吹き付けられていたことが分かった。碑を建立した「在日コリア大牟田」が被害を確認し、大牟田署に通報した。在日本大韓民国民団県地方本部も現地を調査した。

 塗料が吹き付けられたのは、朝鮮半島から徴用された人たちが住んだ同市の三井三池炭鉱馬渡社宅で、押し入れの壁に書き残された墨書について説明した碑と、慰霊碑の「碑銘」を説明する碑文。白い文字が塗りつぶされ、「うそ!!」という殴り書きもあった。建立団体の禹判根代表(77)によると、旭日旗シールも貼られていたという。

 碑は、第2次世界大戦中に朝鮮半島から徴用され、過酷な労働で亡くなった人たちを慰霊するため、在日コリア大牟田が1995年に建てた。大牟田市が用地を無償提供し、三井系企業も協力した。毎年4月に慰霊祭を開いている。

 禹代表は「碑は世界遺産になった炭鉱の歴史を伝えるもの。私の分身と思っている碑が傷つけられるのは心が痛む」と話した。