平成26年6月定例会会議録第5日(採決等)

平成26年6月綾部市議会定例会会議録

平成26年7月4日(金曜日)(第5日)

午前9時30分開議

 

安藤和明議員。

(10番安藤和明議員登壇)

10番安藤和明議員:原子力発電所の再稼働をしないことを求める意見書に反対する討論を行います。創政会の安藤でございます。

私は先ほど提案されました原子力発電所の再稼働をしないことを求める意見書に反対の立場から討論を行います。

意見書によれば、平成26年5月21日に、福井地方裁判所において大飯原子力発電所3・4号機の差しとめ訴訟に対しての差しとめを認める判決に基づいて、原子力発電所の再稼働をしないよう、国に申し入れることとしていますが、現在のエネルギー供給の現状も理解せず、ただただ流行病のような原発反対の主張に対して、市民生活に責任を負う政治家として、そのような意見書にくみすることはできません。

福島原発の事故は大変不幸なことであります。被災地域の住民の皆さんのお気持ちは十分察するところがあります。しかしながら、そのことと国の根幹をなすエネルギー政策を見誤ってはいけないと考えます。ベースロード電源としての原子力を加えずに、我が国の電力供給の安定化、低廉化は見込めないのが現状であります。

この間、六つの電力会社が既に電気料金について最大9.2%の値上げ改定を行っていますが、実際には高騰する燃料価格等により、全国の標準家庭で、既に2割程度上昇しております。さらに、2012年7月から始まった固定価格買い取り制度により、再生可能エネルギー供給のための設備投資が加速し始め、非住宅向け太陽光発電を中心とした導入が急増しており、電気利用者への負担は、2014年度で標準家庭モデルで225円になり、今後とも増加傾向にあり、電気料金負担の上昇要因となっております。

さまざまな要因による電気料金の上昇は電力を大量に消費する産業や中小企業の企業収益を圧迫し、人員削減、国内事業の採算性悪化による海外への生産移転等、悪影響が生じ始めており、海外からの対日投資の障害となってきています。

また、家計に対しても負担増加をしていくことは明白であります。

また、現在の化石燃料への依存の増大は、地球温暖化対策に関する我が国の貢献に水を差す結果となっています。

現在、エネルギーを起源とする温室効果ガスの排出は、発電部門において大幅に増加しており、2010年度のCO2排出量と比較し、電気事業者のCO2排出量が1億1,200万トン増加し、電気事業者以外の事業者は2,900万トン減少したにもかかわらず、全体として8,300万トンの大幅な増加となっております。

これまで、国際的な地球温暖化対策をリードしてきた我が国の姿勢が、今問われています。

現在、大飯原子力発電所を始め、我が国の原子力発電所は運転を停止していますが、福島原発事故を教訓に、いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提のもとで、原子力規制委員会において専門的な判断に委ね、世界でも最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められる場合において、原子力発電所の再稼働を進めることと、本年度4月発表の2014年エネルギー基本計画において、政府は公表しているところです。そして、その際、国も前面に立ち、立地自治体関係者等の理解と協力を得るよう取り組むこととされており、原発依存度も、省エネルギー再生可能エネルギーの導入、火力発電所の効率化などにより、可能な限り減らすこととしています。

さて、現在の中東情勢はどうでしょうか。原子力発電所がとまっている中で、石油やLNGの高騰が懸念されています。先日の新聞報道においても、とまらぬ原油高、波及、値上げ、連鎖のおそれ、電気、ガソリン、家計圧迫とのタイトルで、産油国イラクの情勢悪化で、原油高の影響が広まっており、このまま推移すれば、我が国への石油の安定供給はままならない状況に来るのではないかと懸念されています。

既に、中部電力は本年度の電気料金の値上げを申請しました。ある中小企業の社長さんにお聞きしましたら、企業にとって、電気料金の低減は絶対必要条件とのことでした。リスク回避のための太陽光発電事業に取り組まれている会社もあります。このまま推移すると、市内中小企業を泣かせるだけでなく、太陽光発電施設を屋根に上げることができない、経済的にも厳しい家庭ほど、電力料金買い取り制度の犠牲になり、電気料金の負担がかさんでくる状況になります。庶民の党と標榜されている共産党議員団の皆さんが、庶民泣かせの原発反対を叫ばれているのは、全く理解できません。

我が国のエネルギー政策は資源消費国である国柄から考えても、地球温暖化の観点から考えても、化石燃料に過度に依存することなく、燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる、低炭素の純国産エネルギー源として、すぐれた安定供給性と効率性を有し、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もされない原子力発電を、世界一厳しい安全基準となっている原子力規制委員会の判定を経て、再稼働をし、ベースロード電源を確保するとともに、一方で省エネルギー再生可能エネルギーの導入、火力、水力発電の効率化など、可能な限り原発依存を低減させつつ、原発のベストミックスを中長期的に構築することが求められているところであります。短絡的な原発反対の意見書、第3号に反対する討論といたします。ありがとうございました。